2016/04/08 更新
知ってるようで知らないジンギスカン鍋♪そのひみつをご紹介します
ジンギスカン鍋って不思議な形をしていますよね。真ん中が盛り上がっていたり、スリットが入っていたり。どうしてあの形なのでしょう?ジンギスカン鍋のひみつや種類・お手入れ方法などをご紹介します。自宅で本場のジンギスカンが食べたいと思ったら参考にして下さい。
寒い冬はもちろんのこと、スタミナたっぷりで夏でも美味しいジンギスカン。野菜と肉がたっぷり摂れて、見た目以上にヘルシーな鍋の一種です。北海道特有の郷土料理だと思われがちですが、岩手県遠野市や長野県長野市でも地元の郷土料理として古くから定着しています。
中でも特徴的なのが岩手県遠野市のジンギスカンの調理方法です。穴の開いていないジンギスカン鍋を、「ジンギスカンバケツ」というバケツ型の焼き台に乗せて焼きます。
ジンギスカン鍋
岩手県遠野市で使われるジンギスカンバケツ
屋外でバーベキューの変わりにジンギスカンもよさそうですね。
ジンギスカン鍋は、ドーム状の盛り上がりとたくさん入ったミゾが特徴です。他の鍋料理では見ない形ですよね。どうしてこのような不思議な鍋を使うのでしょうか?
ジンギスカンはモンゴルからやってきた?
ジンギスカンの名前の由来は『モンゴル帝国の皇帝チンギスハンが、羊肉を兜で焼いて戦場の兵士に食べさせた』ことが始まりで、鍋の形状は兜の形を模したものという説があります。しかし、当時のモンゴルに「羊肉を兜で焼いて食べる料理」はなく、これが起源ではないようです。
その名称から、「ジンギスカンが遠征の陣営で好んで食べた」「ジンギスカン率いるモンゴル軍兵士が自分の兜で羊肉を焼いたのが起源」とするなどの俗説があるが、羊肉を常食するモンゴルにいかにもありそうな料理名を拡大解釈したものとみられる。
ジンギスカンは明治以降に広まった日本生まれの料理です。
ジンギスカン料理は、
明治以降、羊の導入と共に
当時の国内政策や情勢と深く関わって誕生し、
第二次世界大戦前後からの背景から
特に北海道に根付き広まった羊肉料理で、
ジンギスカンの名で呼ばれるようになってから
あまり時間の経っていない比較的新しい料理です。
ジンギスカンの始まりは、1918年(大正7年)に軍隊、警察、鉄道員用制服の素材となる羊毛自給をめざす「緬羊百万頭計画」が立案されたのがきっかけと言われています。その早期実現のために羊毛のみならず羊肉をも消費させることで、農家の収入増加と、飼育頭数増加を企図した。しかし、当時の日本人は羊肉を食べる習慣がほとんど無く、日本で受け入れられる羊肉料理を開発する必要に迫られ、農商務省は東京女子高等等師範学校(お茶の水女子大学の前身)に料理研究を委託した(山田喜平著「緬羊と其飼ひ方」より)。
今のような鍋の形になった理由ははっきりとしません。ドーム状の鍋の原型は昭和初期に出はじめたと言われています。その後時代と共に少しずつ変化し、現在のような形になりました。
由来は不明でも、ジンギスカンにこのような鍋を使う理由ははっきりとしています。
それは「野菜を美味しくする形であること」と「肉をヘルシーにしてくれること」です。
ドーム状の形で肉も野菜も美味しく
ジンギスカン鍋は鉄製のものが主流です。中央部分が盛り上がった独特の形は、下からの熱を溜め込むのに優れており、肉を乗せても鍋の温度が下がりにくいという特徴があります。
また、ジンギスカン鍋はドーム部分で肉を、周りのドーナツ部分で野菜を焼くように作られています。
肉汁が鍋を伝って下の野菜にしみこみ、より一層おいしくしてくれるのです。
鍋のミゾがジンギスカンをヘルシーにしてくれる
上の表は、実は羊肉の含む脂肪分は牛肉より少なく、カロリーが低いことを示しています。
また羊肉の脂肪分は溶けづらく、消化吸収しにくい性質を持っています。
そしてここでも鍋の利点が!鍋にミゾがあることで脂肪分が落ち、さらにヘルシーに食べることができるのです。
美味しいジンギスカンが食べたいと思ったら、やはり専用鍋は欠かせません。
ジンギスカン鍋には3つのタイプがあり、それぞれに向いた使い方があります。
購入の際は用途に合ったものを選びましょう。
ミゾに穴が開いている鍋
ミゾ部分にスリット状の穴が開いている鍋です。炭火七輪の上に鍋を乗せて焼く場合などに向いています。炭火が直接肉に当たるため、芳ばしい焼き加減と香りを楽しむことができます。
ミゾに穴が開いていない鍋
卓上コンロで焼く場合などは、肉汁や脂が落ちない穴なし鍋の方が向いています。
深型でミゾがない鍋
野菜をたっぷり食べたい方におススメ。深さがあるのでこぼれる心配がありません。また〆の煮込みうどんはこの形の鍋ならではの楽しみです。
食べ終わった後のジンギスカン鍋は、肉や野菜のカスが焦げ付いたりして汚れてしまいます。
つい力任せにゴシゴシとしたくなりますが、それは厳禁!表面の塗装を剥がしてしまいます。
正しいお手入れ方法は、
1.食べ終わった鍋はお湯に漬けて焦げ付き部分を洗いやすくしておく。
2.柔らかくなった焦げ付き部分をスポンジ又はたわしで洗う。
3.十分に乾かす
4.キッチンペーパーにサラダ油を湿らせ鍋の表面に油でコーティングする。
となります。鉄製のジンギスカン鍋は、水分を残したままにするとすぐに錆びてしまいます。
きちんとお手入れして、ピカピカの状態を保ちましょう。
ホットプレートやフライパンでもジンギスカンを楽しむことはできます。ですが、やはり本当の美味しさは専用鍋ならでは。ここにご紹介した他にも、簡易鍋と呼ばれるものやミゾがキャラクターの柄になっているものなど、ちょっと面白いジンギスカン鍋も売られています。ぜひ手に入れて、本格ジンギスカンを自宅でお楽しみ下さい。